東京湾秘伝の漁法「富津潜り」(中)恐怖を超えて余りある海の恵み [リサイクルマンの気になるニュース]
「富津水産捕採史」によれば、昔から素潜り漁が行われていた富津の港に「潜水器漁」が導入されたのは、明治35年ごろのこと。同様のやり方での漁は、県内では富津漁港以外にはないという。長く潜り続けられる潜水器漁は「富津潜り」と呼ばれるまでに普及。結果として水揚げは飛躍的に高まって利益を生み、加工業者やそこで働く女性など、町全体に仕事の場を提供した。
平野正美さん(84)は、昭和19年から30年までの間、潜り漁を経験。「モグリさん」の中で、一番古い時代を知る1人だ。
当時の漁は、今と違い、11月から4月いっぱいまでが漁期。乱獲を防ぐのが目的だったようだ。タイラガイとミル貝が主に採れた。漁期以外は、皆、別の方法で漁を行っていたという。
やはり当時も「モグリさん」がおそれてたのは潜水病だった。特に、昭和20年代ごろは、現在よりも深い場所で漁を行っていたらしい。
「一番深くて25ひろ(1ひろは1・5メートル)も潜った。20メートルから先は、20分ぐらいしか潜っていられない。40分も潜っていれば、もう潜水病にかかっちまう」と平野さんは説明。「潜水病にならないように、深いところから上がるときは、水面まで2時間もかけて徐々に上がった」。
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